質感。

四谷に岡崎乾二郎展を見に行く。偽日記に詳しい評が出ていたので何となく興味をもったので、行ってみた。岡崎氏自体はまったく知らない。この方面には疎いです。
2枚一組の絵画が3点。芸術的なことはわからないが、顔料の質感が生々しく、自分の内蔵を見せられているような変な感じだった。多彩な色が塗りつけられ、対になっている隣と同じ物が色違いで描かれているのかと思えば、必ずしもそうではなくて、それでも全く別個のものとして描かれているわけではないと感じさせるところに意図があるんだろうと思うけれど、それがどんな意図かと考えるとよくわからない。ただ顔料の質感だけが頭から離れない。

内田樹の『期間限定の思想』を読む。内田氏のファンではあるけれど、その著作を読むのは4冊目。いつも日記をチェックしているくせに少ない。いや、だからか。
読みやすく、わかりやすいが、それゆえに痛い。例えば、こんな一文、

 自分が経験したのと同じ苦痛を他人に強いる人間は、それに耐えたことへの「敬意」を求めているのである。

痛いです。自分のことを言われていると思いましたね。己の弱さと向き合ってきた人であろうこその分析が冴える。一気に読了はしたけれど、たぶん何回も読み直すだろう。